June 18, 2009

袖にとゞめて



運動場にて、落花を拾ひて、袖に収めけるを看守の見て咎めければ、二首。
香をだにも、袖にとゞめて、あかず散る、花の夕の、思ひ出にせん。
またも来て、訪ふ宿ならぬ花なれば、散り行く影の、なほぞ恋しき。

---------------------------木下尚江「鉄窓の歌」より

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