June 27, 2009

人を見ず

人間には様々な欲というものがある。
全くないと生命を維持できないが、これを持ちすぎると悪しきものとする傾向にある。食欲、金銭欲、愛情を欲すること等々。

その中に人に認められたいという欲がある。これもある程度はないと社会的に生活ができないが、度を過ぎると自分も周りも苦しくなる。
過ぎたるは及ばざるが如し。

欲にも、よく断罪されるものとそうでないものとがあるように思う。認められたいという欲は後者で、むしろその欲求は向上心として肯定的に受け取られることが多い。それがよいか悪いかはわからないが、私を苦しめたのは事実であるし、また多くの人をも苦しめているように思う。


少 し前のエントリで書いた、何者かであることとそれによる自信のことについて考えていて違和感があったのは、私は自信についても今特に欲していない、という ことだった。一年前は自信が欲しくて就職活動をした、という側面も大いにあった。自分がそうして誰かに必要とされている証明が欲しかったしそうしないと無 価値だと焦っていた。今はきれいに消えている。

自信というのはそういうことなのかもしれないと思う。
常に人に認められて得るものではなく(その手助けは借りるかもしれないが)、終局的には自分で立つということ。人の評価は一定ではない。人も様々である。
と、頭では前から分かっていたことなのかもしれないが、すんなり受け入れられるようになったのはここ最近。

というスタイルについての変化があった。


母によく言われていたのは、人を見てはいけません、という言葉。

そのあとに、神様を見なさい、と続くこともあれば、自分は自分である、と続くこともあるし、実を見なさい、と続くこともある。
彼女自身が、人を見すぎることによって、本質を見誤ったり、混乱・失望した経験を通して学んだのだと。

私はそもそも人をそんなに信用したり尊敬しすぎない方だが、評価は割と気にしてしまう方で。
そんなとき芥川の河童を読むと、評価などどうでもよくなる。

参考:「河童」/芥川龍之介

No comments:

Post a Comment